結結エッセイ07 沖縄の魅力を世界に発信 井手 裕一

県産映画で沖縄の魅力を世界に発信したい。

沖縄の魅力をイメージした時、青い海、青い空、彩り鮮やかな珊瑚礁や熱帯魚の群れ、そして緩やかな時間と島の人々のホスピタリティー溢れた笑顔・・・。
そんなイメージも確かに沖縄の魅力の一つですが、この島に生まれ暮らす私たちの日常では、こうした魅力など滅多に感じることなく、夏の熱さにめげながら、きれいな夕日を眺める暇もなく、それなりにせっせと働き、横繋がりの人間関係の濃密さがいい時と悪い時を繰り返しながら、雨に濡れた灰色のブロック塀の小道をテクテク歩いていたりします。
と書くと、まるで郷土なんてつまらなさそうに聞こえますが、答えはその逆!そうした本当の日常の中でしか味わえない、沖縄独特の匂いや湿度感や苦しみも、私にとっての魅力であり、この島に生きていることを実感する瞬間だとさえ思っています。

「マサーおじいの傘」
「琉球カウボーイ、よろしくゴザイマス。」

わたくしの会社で製作している映画があります。

2007年公開された沖縄初県産品映画
「琉球カウボーイ、よろしくゴザイマス。」

この映画は、「See Me?」「Happy Pizza」「マサーおじいの傘」の短編三作品で沖縄在住の一流映像クリエイター達が、自分たちの大好きな沖縄の魅力を映画にしようと集結し作り上げた記念すべき作品で、この映画をナビゲートするのは沖縄芝居の喜劇の女王、仲田幸子。出演者は、かっちゃん、ジョニー宜野湾、アルベルト城間、藤木勇人、新良幸人、吉田妙子ほか、沖縄芸能界オールスター勢揃い!(沖縄人にとっては凄いことなんです!)

2009年ガレッジセールのゴリさん初監督作品
「南の島のフリムン」

この映画は、フリムン(馬鹿者)3人組が米国海兵隊軍人と、金髪彼女を賭けて安慶名闘牛場で決闘する!という、ゴリさんワールド全開のコメディー作品です。これも沖縄県出身じゃなきゃ思いつかないストーリーです!(ウチナーンチュとアメリカーが決闘する話なんて!)

「ニライの丘 ~a song of gondola~」
「やぎの冒険」

今年の沖縄国際映画祭出品作品
「ニライの丘 ~a song of gondola~」

沖縄芝居「丘の一本松」をリスペクトした作品で、北谷町を舞台に、現代の父と子の関係に置き換え、失われつつある家族の絆とは何かを見つめたストーリー。父親役の津波信一さんのこれまでにないシリアスな演技は必見です!

今年、秋頃公開予定の映画「やぎの冒険」

この映画の監督は、沖縄市生まれの弱冠14歳の仲村颯悟くん。ストーリーは、ある日、可愛がっていた山羊がヒージャー汁(山羊汁)にされそうなところを運良く?逃げだし、主人公の少年と村人達が追いかけていく中で、人は何かの命を受けて生きている…。という大事なことを知っていくストーリー。
沖縄の食文化でもあるヒージャー(山羊)を題材に、生きることの尊さを少年監督の目線で描いています。

ここに挙げた映画作品のどれを取っても、沖縄にいる人の手で作り上げられた作品達で、私はこうした沖縄県産品映画を、県外はもとより海外へ発信していきたいと考えています。それは日本の中の沖縄ではなく、世界の中の沖縄として俯瞰で見るならば、まったく夢の話ではありません。独自文化のオリジナリティとメッセージ、そして映し出されるものすべてに愛情が込められている映画作品を、世界は常に求めているからです。

もしも、沖縄を訪れた際に雨が降ってどんよりしていても、ガッカリせずに、街の路地裏や森の緑を見に行ってください。アスファルトの蒸れた匂いや、濡れてもたくましい南国の草花が、また新しい沖縄の魅力を見せてくれるはずです。

井手 裕一

PROFILE

井手 裕一 (いで ゆういち)

1966年、沖縄県沖縄市生まれ。東洋大学を卒業後、都内の映像美術制作会社に入社。その後フリーに転身し、コマーシャルの美術デザイン助手、演出助手などを経て、1994年、故郷の沖縄で映像制作会社(有)あぐエンターテイメントを設立。2005年、社名を(株)シュガートレインに改称し、琉球カウボーイフィルムス製作沖縄県産琉球映画「琉球カウボーイ、よろしくゴザイマス。」をプロデュース。株式会社シュガートレイン代表取締役。琉球カウボーイフィル ムス製作委員会統括プロデューサー

株式会社シュガートレイン

沖縄県産映画「琉球カウボーイ、よろしくゴザイマス。」

次回予告

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