結結エッセイ02 沖縄の魅力 〜「観光」と「エコ」〜 うちなー漫才コンビ 泉&やよい

沖縄の日常を漫才でおもしろおかしく表現し続け、今年芸能活動12年目を迎えた泉&やよいのお二人に「観光」と「エコ」をテーマに沖縄の魅力や、これからの沖縄の姿についてお話を伺いしました。

— 沖縄の大切なものの一つである観光について、そのあり方に理想というのはありますか。

やよい
「観光そのものには、訪れたい地を単純に『見に来て遊んで行ってね』というようなイメージがあります。観光立県としての視点から沖縄を考えると、地元住民である『うちなーんちゅ(沖縄人)』は観光客の方が沖縄に求めているものをよく知る必要があるのではないでしょうか。求められていることを知ることで、住民と行政が力を合わせてより良い沖縄づくりをしていけるのではないかと思います。」

— そのうちなー(沖縄)に求められているものとは、どういったものだとお考えですか。

やよい
「エイサー、琉球舞踊、民謡や古典、芸能やお笑いはもちろんのこと、沖縄独特のニュアンスや空気感も求められているように感じます。言葉に出すことは簡単ですが、地元うちなーんちゅ一人ひとりが沖縄人としての意識と誇りをもち、それぞれの思う沖縄を発信していくことで『うちなー』の空気感がさらに出来上がってくるのではないでしょうか。」

— そうですね。その意識が空気感に繋がりますね。

「やよいが言うように、沖縄を深く見てほしいと思います。もちろん沖縄の海に行きたいという気持ちが強い観光客の方も多くいらっしゃるとは思いますが、ここは碧い海と青い空だけではなく、歴史や文化、芸能、その他の全てを含めた真の沖縄を見て、感じてほしいですね。」
やよい
「観光客の方が沖縄独特の空気を感じられるくらい、地元から発信していかないといけないですね。実は沖縄生まれの私たちでも、本土の仕事から帰って来ると、『沖縄』という空気感がわかるので、本土の方はもっと強く感じられているのではないでしょうか。沖縄へ何度も訪れているリピーターの方にも、来るたびに新しい、その時々の沖縄の風や空気を感じていただけることこそが本当の空気感なのだと思います。」

— ずっと変わらない良さとして、求められていることが残ってきていますよね。

やよい
「沖縄の先人たちが残した文化や伝統芸能をはじめ、人としての気持ちやつながり、誇りを一人ひとり意識し、また自分もそう成長できるよう心がけていくと良いのではないでしょうか。良い意味での他都道府県との差別化ですね。」
「時々、地元の人から『沖縄は日本国じゃないさ、島国さ』という言葉を聞くことがあります。しかし、近代化を続ける沖縄は本土と変わらない文化になりつつある中、私たちは本当に『島国』といえるのか疑問ですね。沖縄の全てを自信や誇りとし、堂々と『一つの国としての島国』と言えるようになってほしいですし、自分自身もそうでありたいと思っています。」
やよい
「今は、昔の沖縄の大航海時代にあった、世界と貿易や交流をするバイタリティーを取り戻す時期ではないでしょうか。また、先人たちが持っていたバイタリティーや誇りが失われつつあることに沖縄県民が気づき、その心を取り戻してもらえると地元お笑い芸能の土壌ももっと豊かになると思います。
私たちが一番危機感を感じているのですが(笑)どんどん近代化が進み沖縄特有の伝統や文化、風潮や習慣が残せなくなってしまうと、昔ながらのうちなーんちゅがいなくなってしまうのではないでしょうか。
また、別の視点から見ると、うちなーから地球を守ることも大事だと思います。例えば、本島内で利用できる車はハイブリッド車のみとした場合、『エコ』という視点から世界中の視察団が訪れてくるかもしれません。そうなると、世界中の人へ『エコ』の取り組みを説明するための通訳者をはじめ、世界へ発信していくための産業や企業、そして雇用が増え、県全体に潤いが生まれます。沖縄が成長することで地球が健康になる環境サミットが開かれるのも夢ではないかもしれません。」

— 国際会議が開かれるくらい、国際的な位置づけができる取り組みというのはすばらしいですね。

やよい
「また、沖縄の立地を利用したエコといえば太陽光発電でしょう。現在クーラーに頼り切っている生活ですが、クーラーのない時代には建物や着物、料理などで工夫し、涼しくなるためのジンブン(知恵)を駆使していました。それを現代の生活に取り入れ、クーラーの稼働率が世界一低い『島国』を作っていくなど、やはり先人の知恵を取り戻すことが大事だと思います。極端な話ですが、暑いからといってパンツ1本の・・・(笑)」
全員
「(笑)」
やよい
「昔の遣唐使が書いた資料の中に『上半身裸で真っ黒に日焼けした野蛮人』と記録されているのですが、クーラーのない時代ではそうせざるを得ないくほど暑い気候なんです。
現在ではほとんど見かけなくなりましたが、私たちが小さい頃の町やーぐゎー(商店街)では、おばー(おばあちゃん)たちが綿のシミーズとパンツ姿でタバコを吸いながら座っていました。今ではそういうおばーたちがいなくなりましたね。確かに、今の時代では許されない格好だと思いますが、それに変わる何か、見た目も違和感がなく涼しい服があるといいですね。
今は民謡や舞踊の世界でしか残っていませんが、ウシンチー(帯のない着物)は脇の部分が大きく開いていて、風通しを良くした作りになっています。そういう知恵の詰まった良いものを現代の若手へ受け継ぎ、現代風にアレンジした服がかりゆしウェアのように日常で着れるようになると良いですね。おじいちゃんやおばあちゃんが着やすいようなものや、子供たちが始業式や卒業式で着れるようなものも良いと思います。
ヨーロッパや日本のようにネクタイを締めて背広を着るということが正装というのではなく、気候にあった正装をすることでエコにつながっていくといのもいいのではないでしょうか。
沖縄でよく目にする琉装は王族が着ていたもので、庶民が着ていた着物とは違います。沖縄の研究をしている研究者の方々の知恵を活かして、特別な場には本物の絹を用いた紅型、普段使いには化学繊維などで洗濯が簡単な生地の着物と、それぞれの持つ性質、特徴に合わせて、身近に着られる正装用の琉装を作っていけると、沖縄の産業も増えて、エコで潤いますね。」

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