音楽を通じて沖縄をPRし、沖縄の音楽シーンを確立した
りんけんバンドのリーダー照屋林賢さん。
世界中を旅し見えてきた沖縄、観光とエンターテイメントのあり方など
照屋さん独自の視点で沖縄について語っていただきました。
沖縄の魅力を一言で言うのは難しいですが、海外に行ったとき何に魅力を感じるかというと、それは僕らと違う生活スタイルや違う食べ物、違う顔、違う音楽、違う気候・・・違うものに魅力を感じます。だから「来て良かった」と思うのではないでしょうか。
現在の沖縄はどうでしょう。本土の人にとって「海がきれい」「空気感が違う」「食べ物が美味しい」「沖縄の人の顔立ちだ」など、いろいろ違いは発見できます。でも考え方やしゃべり方、建物の作り方、接待の仕方も「日本風」「東京風」になってきている気がします。沖縄の魅力は半減しているのではないかな。昔の方が「沖縄らしさ」というのはあったように思いますね。
これからは本来の沖縄の姿に戻さなければならないのではないでしょうか。沖縄が目指すものはやはり自分たちのリズムを取り戻すというか…。
今は何でもかんでも東京風のリズムに合わせられていますよね。会社組織もそうですが、音楽も日本でウケる音楽を作っていて、沖縄の音楽も今は日本風にしないと売れない時代です。それが沖縄の魅力を半減させてしまっているのではないかと思います。
例えば、観光客のリピーター率が高いハワイでは、たくさんのお店がある中で「アロハー」と現地の人が迎えてくれるお店はすっごくホッとする。それが白人のマネージャーが来て「ウェルカム」と言われても、「ハワイに来たのに違うな」と。沖縄でも同じで、沖縄の顔の人に「めんそーれ」と言われたら絶対喜ぶと思うんです。
沖縄の迎え方、沖縄の接待、沖縄的なものというのは、僕らが持っていたもの。それを大事に復活させなければもったいない!海外に行けばすぐに分かりますよ。「ああ、沖縄に必要なものがこれだ!」ってね。
沖縄に来る理由はみんな沖縄だから来るのであって、これが東京と一緒だと楽しくないでしょう。
それは結局、僕らが望むもの、与えられるもの、やっぱり沖縄的な「もてなし」なんだと思います。
僕らは400、500年前の沖縄を知らないけど歴史は残っていて、首里城の「守礼の門」には、琉球は礼儀を守る国だとはっきり書かれています。中国から冊封使が来たら歌と踊りで出迎えて、料理でもてなし、満足させて帰す。これは大和(日本)から来ても同じようにやっていました。
沖縄の人は客人に良い思いをさせて満足する民族のような気がします。日本の人が来たら日本の人が好みそうなことを、中国の人ならその人が好みそうなことを考えてやる。かといって自分たちのポリシーは壊さない、自分たちのスタイルを守り抜く。そこは沖縄の先人から学ばなければいけないところだと思います。「接待をするという心」これは何よりも沖縄の一番の宝物だと思うので、若い人はそれを学ぶと良いですね。
りんけんバンドがやっているのは芸能ではなく“沖縄エンターテイメント”です。
“芸能”を否定しているわけではなく、伝統芸能とか民族芸能とか親から子に、子から孫に伝承していくもので、それは形を変えなくてもいいと思うんです。「変わらない」ということに価値があるので。地域に根ざして地域を活性化する源にもなっていますしね。
エンターテイメントというのは、地域は別として、「もてなす心」に比重をおいています。芸能が変化し、進化したものがエンターテイメントです。そしてお金をいただいてビジネスとして成立しています。